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#09 自己効力感を育む英語リメディアル教育

共通教育部 助教
中村 隆之
研究分野:英語教育

皆さんは英語が得意でしょうか?中学校や高校でつまづいて、英語が嫌いになった人も多いのではないでしょうか。私は、英語に苦手意識を抱えた学生が、少しでも英語学習に興味・関心を持ってもらうにはどうしたら良いか、日々の授業や研究を通して模索しています。

 

研究テーマや、現在の研究内容について教えてください

研究テーマは「リメディアル英語教育」です。学習不安を解消し、学習意欲・自己効力感を高め、英語学習にもっと興味・関心を持ってもらうことを目的に、英語に苦手意識を持つ大学生、特に大学初年次学生に対して教育と研究を行っています。具体的には、質問紙調査を通じて、学生の自己効力感やその変容の過程を研究しています。先行研究だけでなく、実際に授業でも新しいアプローチを検証することで、効果的な指導方法を模索しているところです。今後は、大学生に合った効率的な学習方法・学習方略についても研究の幅を広げたいと考えています。

 

このテーマで研究を始められたきっかけや経緯を教えてください

グローバル化が加速し、英語が実質的なリンガ・フランカ(共通語)として世界で使われている中、小学校における外国語の教科化などにも表れているように、日本においても英語教育熱はますます盛んになるばかりですが、一方で多くの日本人が英語への苦手意識を払拭できずにいる印象があります。
私にとって、「日本人は少なくとも 6 年以上英語教育を受けているにも関わらず、なぜ英語が話せないのだろうか」という素朴な疑問が研究の出発点でした。大学や大学院で第二言語習得理論や英語教育学を学ぶ中で、日本人英語学習者の学習初期段階で陥りやすい躓きについて次第に興味を持つようになり、小中学校での教育実践を通して考えていくようになりました。
現在は対象を大学生に移し、英語リメディアル教育について研究していますが、英語学習における躓きへの関心は変わっていません。リメディアル教育とは、広義では学習・学修支援を包括し、「大学院生を含む高等教育機関に学ぶ全ての学生と入学を予定している高校生や学習者に対して、必要に応じてカレッジワークに係る支援を高等教育機関側が組織的・個別に提供する営み、またその科目・プログラム・サービスの総称」(日本リメディアル教育学会)を表します。ここで支援対象としている学生には、基礎学力向上を目指す人や、大学レベルの学力はあるが更にそれを伸ばそうとする人達を含みます。
近年、日本の多くの大学において、英語リメディアル教育が行われていますが、英語への苦手意識が強い学生の多くが中学校段階で躓いたまま進学してきていることが明らかになっています。長期にわたり苦手意識を抱えてきたことを考えれば、彼らが英語を学ぶ意欲を無くしていても不思議ではありません。英語の習熟度を上げることは一朝一夕ではありませんが、学習動機の観点から少しでも彼らの苦しみを除き、英語学習に前向きに取り組めるよう効果的な指導はできないか日々模索しています。

 

研究を進める中で、今どのような成果や課題が見えていますか?

現在、大学生の英語学習における自己効力感に注目しています。自己効力感とは、ある目標を達成するのに必要な行動をうまく遂行できるという確信を表します。前述の通り、英語への苦手意識が強い学生は、英語学習初期段階で躓いて以降、ずっと苦手意識を抱えたまま大学に至っていることが多いです。そのほとんどが英語学習における成功体験が少なく、「自分は英語を修得することができない」と感じている、すなわち自己効力感が低いことがわかっています。そのような学生の学習不安を軽減し自己効力感を育むことができる英語指導について、実践を通じて模索しています。まだまだ学ぶべきことも多く、成果と言えるような研究もできていませんが、学生が英語への興味・関心を再び持てる英語指導について研究することで、大学初年次教育への貢献につなげていきたいと思っています。

 

高校生、大学生の皆さんへ

もしあなたが英語に苦手意識を感じているなら、その理由は何でしょうか?語彙力?文法?実はコツさえつかめば、その気持ちはぐっと軽くなるかもしれません。当たり前かもしれませんが、英語は「言語」であり、人と人とがつながるためのコミュニケーションツールです。「言語を理解するとは何か」、「コミュニケーションとは何か」を考え直すことで、英語に対する姿勢や学び方が変わることがあります。映画、SNS、なんでもかまいません。英語がますます身近になっている今、少し見方を変えて英語学習に興味を持ってもらえると嬉しいです。