管理栄養士をめざす人へ
管理栄養士の仕事に興味がある、養成課程への進学を考えている …、そんな方たちに、管理栄養士として食に関わることの魅力をもっと知ってもらえるよう、お役立ちコラムをまとめました。
管理栄養士になるには? 大学、短期大学、専門学校の違いとは?
要介護者や傷病者、成長期の子どもからアスリートまで、幅広い対象者に向き合い、栄養のバランスが取れた献立の作成や、食育、栄養指導などを通して健康を支える管理栄養士。就職先も教育機関や病院、福祉施設や食品メーカーなど幅広い選択肢が挙げられます。
そんな管理栄養士ですが、どのような学校に進めばその資格を取得することができるのでしょうか?
今回は、管理栄養士の資格を取得できる進学先について説明します。
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管理栄養士をめざすための進学先
管理栄養士になるには、国家資格が必要です。
資格の取得には、管理栄養士養成課程を持つ教育機関に進むことが早道です。
管理栄養士ではなく、栄養士養成課程に進んだ場合も就学や実務の経験があれば管理栄養士の資格を取得することができます。
| 管理栄養士養成課程 | 大学、専門学校 |
| 栄養士養成課程 | 大学、短期大学、専門学校 |
ここでは、大学、短期大学、専門学校それぞれの違いについて説明します。
大学
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1. 学位を取得できる
4 年制大学を卒業すると「学士」という学位が与えられます。
就職先によっては大学で取得できる「学士」と短期大学や専門学校で取得ができる資格を差別化し、初任給等に反映させているところもあります。
また、文部科学省が認定する称号である「専門士」「高度専門士」とは異なり、学士は国際的に認知されているものです。
そのため、近年では大学へ進学して管理栄養士をめざす学生が多いようです。
2. 在学中に国家試験受験資格を取得できるカリキュラム
大学の場合、管理栄養士養成課程としてのカリキュラムが設けられており、それらに沿って学ぶことで管理栄養士の資格取得に必要な知識と技術を身につけることができます。
3. 関連する専門資格・免許の取得が可能
また、4 年制大学では、栄養教諭や食品衛生監視員・管理者など、あわせて取得できる専門資格の幅が広がり、卒業後の働き方の選択肢も豊富になります。
4. 一般教養科目や、学部・学科を横断した学びが充実
また、大学では専門的な学びに加えて一般教養も学ぶことができるので、自身の見聞を広げることができるという点も大きな特徴と言えるでしょう。
短期大学・専門学校
管理栄養士になるための選択肢として、短期大学や専門学校も挙げられます。
こちらは栄養士養成施設の認定を受けた 2 年制、3 年制の学校です。
短期大学・専門学校で管理栄養士の国家資格取得を目指す場合、栄養士の免許を取得し、卒業後指定された年数の実務経験が必要となります。
2 年制の学校の場合は実務経験が 4 年以上、3 年制の学校の場合は 3 年以上の実務を積む必要があります。
学校の選び方
管理栄養士の資格を取得するには、どのような学校に進学すればよいのでしょうか?
合格率の傾向を見ると、在学中に管理栄養士の資格を取得することができる管理栄養士養成課程の「4 年制大学」(一部専門学校)が圧倒的に高く、そのためか多くの高校生から進学先に選ばれています。
ほかにも、大学の特長として、学位の取得、一般教養も含めた幅広い学び、異なる分野の学生・先生との交流などが挙げられます。
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栄養士養成課程の短期大学や専門学校に進学した場合、卒業後に栄養士の実務経験を積む必要があります。
実務と並行して試験勉強を行わなければならないため一定の負担がかかります。
どちらが良いか迷われている方は、管理栄養士養成施設の認定を受けた学校のオープンキャンパスに参加し、学校の雰囲気を感じてみたり、気になることを質問をしてみたりするのも良いでしょう。
おわりに
今回は管理栄養士の資格を取得できる学校の種類について説明しました。
管理栄養士の国家試験受験資格を在学中に取得できる管理栄養士養成課程の4年制大学は、合格率も高い傾向にあります。
栄養士養成課程の短期大学や専門学校も選択肢として挙げられますが、こちらの場合、卒業後に実務と並行して国家試験の勉強を行う必要があります。
そのため、傾向としては大学に進学する方が多いと言えます。
大学や短期大学・専門学校の雰囲気が知りたいという方も多いと思いますので、各学校のオープンキャンパスや見学会などのイベントに参加し、雰囲気を体感すると同時にその学校の先輩に質問をしてみることをおすすめします。
管理栄養士の活躍のフィールドは?仕事内容についても紹介します
人々の生活を「食」の観点から支える管理栄養士。食と栄養のスペシャリストとして、さまざまなフィールドで活躍しています。
今回は、管理栄養士が活躍している就職先、および仕事内容についてご紹介します。
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管理栄養士の資格を活かせる仕事
食と栄養に関する専門知識と技術を生かし、人の健康を支える管理栄養士。
就職先は病院や学校、高齢者向けの介護施設のほか、フィットネスクラブや食品メーカーなど多岐にわたります。
病院・医療施設
入院患者への病気別の指導など、チーム医療の一員として、患者一人ひとりに合わせた栄養管理・食事指導を行います。
病状は人それぞれ異なるため、医師や看護師と連携を取りながら一人ひとりに最善の食事を提供し、健康状態の改善に向けた指導をすることが業務となります。
保育所・学校など
保育所・幼稚園・小・中学校など、育ちざかりの子どもたちの食事を支えるのも管理栄養士の仕事のひとつです。
調理師と連携して給食の献立を考えてベストな給食を提供。食のマナーや食文化、食品ロスなどについて伝える食育も行います。
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介護施設・社会福祉施設
介護施設や社会福祉施設に提供するための、食べやすい、かつ栄養がとれる食事を考えるという仕事もあります。
医療関係と同様、一人ひとりにあった食事を検討、提供する必要があるため、食べ物の大きさや流動性(飲み込みやすさ)なども考える必要があります。
研究機関
食や栄養の知識を活かして栄養面だけでなく、企画商品開発や研究開発に携わります。
栄養の面からはもちろん、市場調査・マーケティングにも取り組んで、商品価値の向上に貢献します。
新しい味を生み出すため、原料選びから関わって、試作・改良を繰り返すことも。自身が携わった商品を世の中に送り出せる、やりがいがある就職先です。
フィットネスクラブ・スポーツチームなど
スポーツに取り組む人に寄り添い、食事面で活動をサポートします。
食事はスポーツによる健康増進やパフォーマンスの向上にも深く関わっています。
スポーツにおける管理栄養士は、相手の体格や体質、体調、運動量などから適切な栄養摂取を導き出し、個々の目標到達をサポートします。
「栄養士」との違い
管理栄養士と同系統の資格として、栄養士があります。
いずれも、これまでに説明した施設で働くことができますが、どのような違いがあるのでしょうか?
管理栄養士は厚生労働大臣の免許を受けた国家資格で、主に病気を患った人や高齢者など、個別の対応を必要とする人たちの食事を提案・指導・管理する立場となります。
一方で、栄養士は都道府県知事の認可を受けた資格で、主に健常者を対象とした食事の提供を行います。
管理栄養士は栄養士よりも仕事の幅が広く、より専門的な知識が必要となる場合が多いです。
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おわりに
今回は管理栄養士が活躍する就職先や仕事内容、関連する資格である栄養士との違いについてふれました。
管理栄養士は医療関係や食品メーカー、教育機関、社会福祉施設のほかスポーツ関連施設などさまざまなフィールドで活躍しています。
管理栄養士という資格があれば、栄養と食のプロとして、こうした幅広い世界に関わることができるのです。
体が不調な人を助けたい、子どもたちに食の大切さを伝えたい、トップアスリートにより良い記録を出してほしいなど、それぞれの目的をかなえることができます。
また、管理栄養士は栄養士よりも広い範囲の業務に携わることが多く、文字通り栄養管理の立場に立つことがあります。
ケースバイケースになりますが、管理栄養士のほうが栄養士よりも多くの仕事に携われる傾向にあるため、より専門的な仕事に挑戦したい方は、管理栄養士をめざしてみてはいかがでしょうか?
管理栄養士の資格をめざす!大学で学ぶことをまとめました
子どもたちの発達に応じた献立を立てたり、アスリートへの栄養指導をしたりと、さまざまなフィールドで活躍する管理栄養士。
対象となる相手の健康状態、生活環境、社会環境などを踏まえて、適切に栄養・食事管理を行う必要があります。
そのためには、栄養学はもちろん、食品や人体、経済や食文化等に関する幅広い知識が必要となります。
今回は、管理栄養士の資格を取得するために 4 年制大学(管理栄養士養成課程)では、どのようなことを学ぶのか、必要な知識や 4 年間の学修の流れについて説明します。
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大学で学ぶこと
管理栄養士の資格取得がめざせる大学では、厚生労働省の指針に従って学ぶ内容が編成されています。
授業は必修科目が多く、実験や実習も豊富です。
4 年間を通じて食と人の健康の関係性を理解し、社会に出て幅広く活躍できるように授業内容が工夫されています。
ここでは、大学で学ぶ科目の一部をご紹介します。
基礎栄養学
栄養学全般の基礎として、健康と栄養の結びつきを理解する科目です。
タンパク質やビタミンといった栄養素がどの食品に入っており、どのように体内に吸収され、どのような効果があるのかなどを学びます。
食品衛生学
菌の繁殖や付着する菌の種類など、食品の安全性について学びます。
ここで得た知識は、保健・医療・福祉などの場で活かされ、安全かつ最適な状態での食事指導、食品提供を行うために必要となります。
臨床栄養学
病院で働く管理栄養士が傷病者を対象に行う栄養管理やマネジメントについての、土台となる知識を学びます。
解剖生理学
人体の構造や機能、栄養摂取との関連について学びます。
食べ物の栄養管理ではなく、人の栄養管理を行う管理栄養士にとって欠かせない人体への理解を深める授業です。
食品学
食品の主要成分である五大栄養素の特性など、食品中に含まれる各成分を理解します。
また、食品の嗜好に関わる色、味、香り、物性についてや、調理、加工、保存による成分の変化、食品の機能性についても学びます。
調理学
食材別の調理方法、調理器具の名称や使用方法など、調理関係全般を学びます。
調理に必要な調理特性や食品の調理特性について、科学的に学ぶことで、献立作成時にどのような料理の組み合わせが良いのかを考えることができます。
給食経営管理論
特定多数の人に対して食事を提供する「給食」について、栄養・食事管理に必要な知識と、業務を円滑にマネジメントするための基本な知識と技術を学びます。
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4 年間の学びの流れ
管理栄養士の資格取得に向けて、年次ごとに学びを積み上げていきます。
低年次では基礎となる知識を修得し、高年次ではより専門的な知識を身につけ、さらにそれらを実践で活用するための技術を磨いていきます。
学ぶ科目は厚生労働省の定めるガイドラインに沿っており、管理栄養士養成課程であればどの大学に進んでもそれほど大きな違いはありません。
そのため、それぞれの大学では、決められた科目を「どのように学ぶのか」がポイントとなってきます。
大阪青山大学では、以下 ↓↓ のような流れで段階的に知識、技術を修得し、管理栄養士の取得をめざします。
1 年次
人々の健康を守るため、栄養や医療の基礎を学びます。
2 年間にわたる「調理学実習」で専門的な知識・技能を身に付けるなど、初年次から早くも栄養と食の専門の授業が始まります。
2 年次
管理栄養士としての専門性を高めるために、より実際的な科目が増えていきます。
「生化学」「公衆衛生学」「応用栄養学」など専門的な実験や実習が本格的に始まり、栄養や医療に関する知識を学んでいきます。
また運動生理学の講義・実習に加えて、スポーツと栄養のかかわりについてもこの 2 年次で学修します。
大阪青山大学はコース制を敷いているため、コース別の授業も始まります。
3年次
「臨床栄養学」や「公衆栄養学」などの授業を通して、より高度な知識について理解を深めます。
「栄養教育論」では栄養に関する実践的な教育手法等を学び、「給食経営管理実習」では大量調理に取り組みます。
病院や事業所、保健所などでの臨地実習(学外実習)を経験し、実践的な学びを深めます。
4 年次
栄養評価や栄養マネジメント、栄養教育を行うために必要な能力を伸ばしたり、卒業研究の学修を行ったりします。
管理栄養士の国家試験対策も大詰めの段階です。
日々の学修に就職活動、試験対策とバランスよく取り組むことが求められます。
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おわりに
今回は管理栄養士の資格取得のために大学で学ぶ内容を説明しました。
大学では栄養学はもちろん、食品衛生学や調理学、解剖生理学など多岐にわたってあらゆる分野を学修します。
栄養指導を行う相手は一人ひとり異なる人間であり、個々の対象者にあった指導内容を考える必要があるためです。
4 年制大学では低年次で基礎を固め、学年が上がるごとに実践や応用を中心とする学びへとステップアップしていきます。
4 年間の大まかな流れは同じですが、管理栄養士以外に取得できる資格や、栄養・食の関連分野のなかでも追究できる専門性が異なってきます。
また、学生数や設備面など、どのような環境で学ぶか、という点においても大学ごとに特徴が見られます。
そのため、自分にあった環境で学べる大学を見つけることが大切です。
もしも判断が難しい場合はオープンキャンパスや見学会などのイベントに参加し、在学中の先輩に話を聞いてみるのはいかがでしょうか?
管理栄養士の資格取得をめざすなら、 文系・理系どちらが有利?
人々の健康を「栄養」の観点からサポートする、管理栄養士。就職先は医療現場や学校、保育所、保健センター、児童養護施設、介護福祉施設などさまざまです。
ところで、現在高校生のみなさんは文系ですか?それとも理系でしょうか?
今回は管理栄養士の資格取得をめざすなら、文系・理系どちらが有利なのかについて説明します。
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管理栄養士の資格は文系?理系?
結論からお伝えすると、管理栄養士は、文系 or 理系どちらか一方と言い切ることはできません。
食べ物や栄養、調理に関する学びは家政系、人の体や病気、栄養素の化学的働きについての学びは理系、食品の生産や流通、食文化についての学びは文系と、幅広い学問領域を総合的に学ぶのが、管理栄養士課程の特徴です。
大阪青山大学では、初年次にこれらの分野の基礎をしっかりと学び、2 年次以降、応用力と実践力を身につけるため実験・実習へと学びの軸が移動します。
3 年時よりスタートする臨地実習(学外実習)では、病院や事業所、保健所で働く管理栄養士の仕事を実地で体験します。
これらの実習と座学により、多く実践的な知識と技術を身につけることができるのです。
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管理栄養士の国家資格は在学中には取得するのではなく、卒業と同時に受験資格を得たあと、国家試験を受験して合格することで得られます。
どの管理栄養士養成課程で学んでも、この流れは同じです。
[出典:厚生労働省 管理栄養士・栄養士養成施設カリキュラム等に関する検討会報告書について]
管理栄養士の資格取得のために必要なこと
理系に進まなければ管理栄養士の資格を取得をめざすのは難しいと考える人も多いようですが、文系に進んでも管理栄養士の資格を取得することは十分可能です。
食品の成分分析や献立作成を行うためには、化学実験や表計算にも取り組む必要があり、これらに対する苦手意識は少ない方がベターです。
基礎知識の面では、実験や計算を多くこなす機会のある理系の方が有利ではありますが、いずれの分野も大学に入学後、基礎から段階的に学べるため、そこから知識や技術を身につけていくことが可能です。
つまり、管理栄養士は努力さえすれば文系・理系問わず取得することができる資格と言えるでしょう。
大切なのは、食べ物や栄養、人の健康に興味を持ち、人とのコミュニケーションを積極的に取っていこうという姿勢です。
理系の学びに苦手意識のある人は、中学・高校で学んだことの基礎を復習することでまずは化学式や数字への抵抗を減らしておくと、大学での学びがスムースになります。
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おわりに
管理栄養士の資格取得は、文系・理系どちらでもめざすことができるということをお話ししました。
では、管理栄養士をめざして養成課程のある大学に進もうと考えたとき、入試科目における文系・理系のメリットはあるのでしょうか。
出題傾向としては、化学や生物の基礎知識を問うものが多く、一方で、大阪青山大学のように学科試験は文系の科目のみで受験可能という大学もあります。
気になる大学の試験内容を見比べて、ご自身の得意科目で受験できるところを選ぶという方法で志望校を絞ることも可能です。
ただし、理系科目が必須という大学の試験にも対応できた方が、進学先の選択肢は広がると言えるでしょう。
医療現場や学校、保育所、保健センター、児童養護施設、介護福祉施設、スポーツ施設など、さまざまなシーンで活躍する管理栄養士に興味を持った方は、一度オープンキャンパスや見学会などのイベントで、先生や先輩に質問をしてみてはいかがでしょうか?
管理栄養士として病院で働く。役割や仕事内容、やりがいについて
人々の健康な生活を「食」と「栄養」の観点からサポートする管理栄養士。就職先は病院や学校、スポーツ関連施設、保健所、保育所、高齢者福祉施設など多岐にわたります。
その中でも、病院や診療所などの医療機関は、管理栄養士の専門性が活かせるとして人気が高い職場です。
今回は、病院で働く管理栄養士の役割や仕事内容について紹介します。
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管理栄養士の病院での役割について
病院では入院・通院患者さんの健康を食や栄養の観点から管理・改善指導するために、管理栄養士が必要です。
管理栄養士は病院で、以下のような業務を担っています。
食の提供
患者さん一人ひとりに最適な栄養を提供できるよう、病状や体調に合わせた献立作成を行います。
また、食材の発注に関わる業務、機器のメンテナンスなど、調理現場全体の管理を任されることもあります。
食の管理・指導
栄養サポートチーム(NST:Nutrition Support Team)の一員として、医師や看護師、薬剤師などの専門職との連携のもと、患者さんの栄養面での管理、ケアを行います。
生活習慣病の改善等を目的とした各種教室の企画、実施を行うこともあります。
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法律の観点から
病院への管理栄養士の配置は医療法により定められており、医療法では特定機能病院へ管理栄養士を 1 名以上配置しなければならないと決められています。
患者さんの回復に必要な栄養指導を行うため、管理栄養士は必要不可欠の存在であるといえます。
[出展:厚生労働省 医療法に基づく人員配置標準について]
病院で働く管理栄養士に必要なもの
管理栄養士をめざすうえで、まず必要なのは “食を通して人の幸せに貢献したい” という思いです。
人への関心、食への関心、健康な世の中をつくりたいという思いを持っていることが、食と栄養を通して人の健康を支える職業の土台となります。
そのうえで、どのようなスキルや能力を伸ばして行けば良いのか、考えてみたいと思います。
コミュニケーションスキル
病院の管理栄養士は、幅広い年代、さまざまな病状、異なる生活環境の患者さんとコミュニケーションをとります。
一人ひとり異なる状況をしっかりヒアリングし、的確に伝わる方法でアドバイスするためのコミュニケーションスキル=表現力、対話力がとても重要となります。
人の体の専門知識
傷病者(怪我や病気の人)を対象とした栄養管理の実践を学ぶ臨床栄養学の知識は、医療現場で働く管理栄養士には特に必要とされるものです。
他にも、人体の構造や機能について学ぶ解剖生理学、病気の原因から診断、治療までの基本的な考え方を学ぶ病態生理学などから得られるさまざまな専門知識を活かして業務にあたります。
マネジメント能力、協調性
調理現場においては、調理師など異なる専門職の人たちを束ねる役割を担うこともあります。
管理栄養士には、日々の調理業務から各種メンテナンスまで、チームのリーダーとして多方面に目を配りながら現場を回していくマネジメントスキルも求められるのです。
また、病院での管理栄養士の仕事は、医師や看護師など医療従事者との協働となります。
互いの専門性や方針を理解し合うため、さまざまな考え方を認め、協調しようとする姿勢が大切です。
病院での仕事のやりがい
食は健康の基本であり、医療行為の成果を上げるにも、健康的な食に培われた体が基本となります。
そのため、個々の体の状況に合わせて栄養を考え、食事を管理することは、患者さんの治療のプロセスの一環であり、とても重要なことなのです。
病院での管理栄養士の仕事は専門性が高く、学んだ知識を幅広く活かして働ける環境であるといえます。
専門性を活かして人の健康に貢献しているという実感は、大きなやりがいにつながるでしょう。
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おわりに
今回は、病院で働く管理栄養士の役割や仕事内容について紹介しました。
病院での管理栄養士の業務仕事としては、患者さんへの栄養指導をはじめ、献立立案、調理、食材発注、調理現場の管理など、さまざまな「食」に関する業務が該当します。
栄養の観点から人々の健康改善に携わりたい、医療機関で働きたいと考えている人は、管理栄養士の資格を取得したうえで病院への就職を検討してみてはいかがでしょうか?
管理栄養士にしかできないこと。栄養士との違いについて
「食」を通して人の健康を支える管理栄養士。おいしいだけではなく、相手の年齢や健康状態に沿って必要なエネルギーや栄養素を満たした食事を提供することはもちろん、栄養・食事指導や食育も「食のサポート」に含まれます。
たとえば、病気の患者さんに対しては回復促進、アスリートに対してはパフォーマンス向上を目的とした食事の提供や指導を行います。
人の健康を食と栄養の専門職としてサポートするために必要な資格が、管理栄養士や栄養士です。
今回の記事では、管理栄養士にしかできないことや、管理栄養士と栄養士との違いについて解説します。
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管理栄養士とは
管理栄養士とは、国が指定した管理栄養士養成校で学び、管理栄養士国家試験に合格することで取得できる国家資格です。
もしくは、栄養士養成校で学び、決められた年数の実務経験を経て国家試験を受験する方法もあります。
管理栄養士が指導できる対象者は、健康体の人だけでなく、傷病者も含まれます。
管理栄養士は、保育所や学校などの給食施設、病院や福祉施設での対象者の状態に合わせた献立作成、アスリートのパフォーマンスを高めるための栄養管理、食品メーカーでの商品開発など、さまざまな仕事に携わっています。
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栄養士とは
栄養士とは、栄養士養成課程で 2 年以上必要な知識と技術を習得したうえで、都道府県知事に申請することで交付される資格です。
栄養士が指導できる対象は、健康な人に限られます。
管理栄養士と違い、傷病者を対象に指導することができません。
栄養士の就職先には学校、福祉施設、フィットネスクラブ、食品メーカーなどがあります。
調理が必要な業務に携わる際は、管理栄養士や調理師と連携し、健康をサポートします。
管理栄養士にしかできないこと
ここまでお伝えしてきたとおり、管理栄養士は健康な人に加えて、病気や怪我で治療を受けている人、高齢などの理由で食事を摂り辛い人に対しても指導ができます。
そのため、栄養士よりも高度な専門的知識が必要です。
また、病気や怪我をした患者さんの対応時には、病院で医師や看護師など他の専門職と連携することもあります。
患者さんの容態を確認し、実際に相手と話し合いながら情報を収集し、それを医師に伝えます。
伝えた情報をもとに医師と献立を考案し、患者さんにその献立を提供することで容態の回復をめざします。
管理栄養士は、一人ひとりの健康状態に合わせた栄養・食事管理と指導、食事の提供に関わる全体的な運営管理業務を担います。
加えて、メタボリックシンドロームなど病気になる前の生活習慣の改善指導に携わることもあります。
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管理栄養士も栄養士も、人に向き合う仕事です。
そのため、コンピュータや AI にはできない、きめ細やかなコミュニケーションや、相手への関心、思いやりが大切です。
また管理栄養士や栄養士の資格を取得するためには、「食」への関心も重要です。
食事を提供する際には、食べる人が前向きに、楽しく食事を摂れるような工夫や配慮が求められ、そのためには食品についての幅広い知識はもちろん、自身が食を楽しむ姿勢、食への探究心が大切になるからです。
おわりに
今回は管理栄養士にしかできないことや、栄養士との違いについて解説しました。
いずれの資格も、取得方法や活躍できる場所に違いはあるものの、食の大切さや正しい栄養の知識を人に伝え、人の健康づくりに役立てるということに変わりはありません。
その上で、より高度で専門的な業務に携わりたい、他業種と関わる機会や活躍のフィールドを広げたいという人は、管理栄養士の資格取得をめざすことをおすすめします。
管理栄養士をめざす高校生が今しておくべきこと
「食べ物に関するスペシャリストになりたい」「食の観点から人に貢献できる仕事をしたい」と考えている高校生の方にピッタリの資格として「管理栄養士」があります。
「管理栄養士」は食や栄養を通じて人々に貢献できる資格です。
病院や保健所、保育所、小・中学校、高齢者福祉施設、食品関連企業、フィットネスクラブなど、幅広い企業や施設に就職し、食や栄養に関する教育やサービスを提供します。
今回は、食と栄養のスペシャリスト管理栄養士をめざすうえで、高校生のうちにしておくべきことを紹介します。
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管理栄養士に求められるスキル
管理栄養士にはどのような人が向いていて、どのようなスキルが必要なのでしょうか。
ここでは、管理栄養士に求められる専門性・知識・スキルを説明します。
調理のスキル
管理栄養士は、人々に食品やサービスを提供するための調理に関わることがあります。
栄養価が高く、おいしい食品をつくるためにも調理のスキルが必要です。
また、調理に関わらない場合でも、調理スタッフに指示をしたり、進行管理をしたりするために調理の手順を理解しておく必要があります。
栄養価が高く、味も良い料理を提供し、人々の健康促進を手伝うことができるように調理のスキルは必要であるといえます。
食への探求心
「どのように調理をすればよりおいしくなるのか」「この食材の食べ合わせはどうなのか」など、管理栄養士には食への探求心が必要です。
例えば食材に関してはどのような栄養があるのか、その栄養が身体にどのように作用するのかなどを理解すること、メニューに関しては、どんな調理方法・味付け・盛り付けにしたら食材の魅力を生かせるか?それらを普段から考え、自身もさまざまな食経験を積みながら、日々の業務に活かしていく姿勢が大切です。
対象の方々の満足度を上げるため、健康促進のために、食への探求心は持ち続けなければなりません。
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コミュニケーション能力
病院、保育所、学校、高齢者福祉施設など多様な現場で働く管理栄養士の仕事の多くは、一人では完結できないもので、他職種の人たちとの連携も発生します。
そのため、相手の考えや感情を理解し、配慮する力、自分の想いを伝える力をあらゆるシーンで発揮できる、コミュニケーション力や協調性は欠かせないものになります。
また、医療機関などで管理栄養士が行う「栄養指導」では、食事と栄養に関する課題を抱えている対象者に、その人の状況を把握して的確なアドバイスを行わなければなりません。
対象者は赤ちゃんから高齢者まで、幅広い年代、様々な生活スタイルを持ち、一人ひとりと信頼関係を築くといった、コミュニケーションを通じて指導の効果が高まります。
このように、管理栄養士は、食や栄養の知識や技術だけではなく、コミュニケーション能力を身につけることが大切になります。
高校生のうちからできること
ここからは、高校生のうちから取り組んでおくと良いことを説明します。
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理系科目に取り組む
管理栄養士をめざすうえで、ビタミンなどの栄養素を化学式で表すなど、理系の学習は必須。
高校生のうちに「化学」「生物」「数学1・A」にはしっかり取り組み、基礎を理解し、苦手意識を無くしておくことをおススメします。
文系を選択した高校生でも、管理栄養士の資格を取得するコースを持つ大学のカリキュラムでは、初年次にその後の学修に必要な理系科目の基礎を身につけられるよう、補講などを行っていることが多く、学び直せるようになっています。
とはいえ大学では高校生までの知識がある前提で授業を実施することが多いため、あらかじめ理系科目を学習しておいた方が良いでしょう。
志望校を探す
管理栄養士になるには、「管理栄養士養成課程」のある学校へ進学するのが一番の近道です。
全国に数多くある「管理栄養士養成課程」の学校から志望校を探すには、栄養士免許、管理栄養士国家試験の受験資格以外に取得できる「資格」、「施設・設備」、「学べる内容」「卒業生の就職状況」など、自身が気になる項目を挙げてみて、比較していくと気になる大学が見えてくるはずです。
オープンキャンパスなどの機会を利用し、実際に大学に足を運んでみたりすると、イメージが湧きやすいのでオススメです。
料理の練習
管理栄養士は就職先にもよりますが、自身で料理を提供することがあります。
また、献立作成時にイメージを形にするためにも調理技術は必要です。
そのため、高校生のうちから料理の練習をしておくことをおススメします。
「これまで料理をしたことがない」という方でも、包丁を使う練習などできる範囲から始めることで苦手意識をなくしましょう。
ある程度料理ができるようになれば、家庭内や知人に料理をふるまい、意見をもらうと良いでしょう。
管理栄養士養成課程の学校では、初年次の実習で調理はしっかり学ぶことができますので、現在「料理は全然しない・・・」「料理が苦手だけど大丈夫かな?」という方もご安心ください!
おわりに
本記事では、管理栄養士をめざす高校生が今のうちにしておくと良いことを紹介しました。
食事は人の健康に欠かすことができないとても重要な営みです。
そして、食や栄養について幅広い知識を持ち、人々を健康に導くのが管理栄養士です。
「食」の観点から人々の役に立ちたいと考えている高校生は、できることから一つひとつ取り組み、管理栄養士の道へと進んでください。




















