大学開学 20 周年という「現在」に寄せて

久田 敏彦 先生
大阪青山学園理事・前大阪青山大学学長
在職期間:2014 年 10 月 〜 2022 年 3 月

 大学開学 20 周年、おめでとうございます。

「現在」とは未だ過ぎ去らざる「過去」と未だ来たらざるものではあるが現れてはいる「未来」とが同時に存在する所であるといわれたことがあります。その評価は別にして、西田 幾多郎のこの有名な言説に倣えば、20 周年という「現在」とは、蓄積された過去と内包されている未来を同時に問うとともに両者を繋げるよい節目である、といってよいかもしれません。具体的に何を問い何を繋げるのかは、大学を構成する人々の判断と責任に帰せられますが、私自身の 4 年間の学長経験からみてそこに不可欠なのは、研究と教育の統一だけではなく、大学を構成する人々の共同もあると思います。とくに COVID-19 の拡大という奇禍に遭い、教職員が互いの異質さを認めながら学生の最善の利益を保障するという課題を共有しその解決に向けて共同して取り組んできた経験が、そのことをあらためて教えてくれました。これは、奇禍という点を除けば、大学づくりのひとつの原動力のように思われます。

 20 周年という節目が、これまで蓄積してきた力を発揮してこれからの進展をいま、ともども展望するよい契機となりますよう祈念申し上げます。