【幼稚園教諭をめざす人へ #07】小学校になじめない「小一プロブレム」とは?幼稚園教諭にできること。
子どもと関わる仕事に興味がある、養成課程への進学を考えている …、そんな方たちに、専門職として子どもの保育・教育に関わることの魅力をもっと知ってもらえるよう、お役立ちコラムをまとめました。
保育所や幼稚園に通う子どもたちは、次のステップとして小学校に進学します。
保育所、幼稚園では問題なく過ごせていても、小学校に入学してみると周囲になじめない、落ち着きがない、勉強に集中できないといったことが見えてくる子どもたちがいます。
そうした状態を総称して「小一プロブレム」と呼ぶことがあります。
今回は、小学校生活に順応できない「小一プロブレム」を詳しく掘り下げ、幼稚園の段階で、園の先生にできる対策について解説します。
「小一プロブレム」とは?
「小一プロブレム」とは、小学校に上がった子どもたちが、環境の変化に適応できず、学習や人間関係、生活習慣等にトラブルを抱える状態のことを指します。
要因としては、主に次のようなことが考えられています。
【勉強】
小学校では、保育所や幼稚園までとは違い、勉強が中心となります。
勉強は時間割に沿って進められ、決められた期限までに提出する宿題などの課題も増えます。
これまでそういった制約を受けることなく過ごしてきた子どもたちの中には、こうした状況にうまく対応できないケースもあります。
また、最初は何もわからないことを前提に進められる授業でも、平仮名の習得度などには入学時にすでに個人差があるため、できないことを不安に思ってしまう子どももいます。
【生活スタイル】
小学校では、保育所や幼稚園以上に集団行動での規律が求められます。自由な遊びの時間なども少なくなり、ストレスを感じることもあります。
また、先々の行動を丁寧に指示してくれる保育所や幼稚園と違い、小学校では準備や課題を済ませた子どもから順に次の行動に移るなど自主性を求められることが多く、子どもが戸惑う場面も見られます。
【人間関係】
小学校では、一人の先生が見る子どもの数が増え、きめ細かな指導が行き届きにくくなります。保育所や幼稚園の先生のような、優しく面倒を見てくれる存在がいなくなり、不安定になる子どももいます。
また、慣れ親しんだ保育所・幼稚園を離れ、全く新しい人間関係の中に放り込まれることに緊張し、不安定になるケースもあります。
保育者・教育者にできること
では、こういった問題に、保育士や幼稚園の先生は、どのように向き合っていけばよいのでしょう。
小学校入学時の環境の変化における子どもたちのフォローは、保育所・幼稚園・小学校の連携のもとで行われ、それを一般的に「保幼小連携」と呼んでいます。
ここからは、それぞれの場において、どのような取り組みがなされているかについて見ていきましょう。
保育所・幼稚園での取り組み
小学校に入るとすぐに、新しいノートやプリントに自分の名前を書くことが求められます。
そのため最近では、読み書きを教育する方針を持たない保育所や幼稚園においても、自分の名前を書いて、読めるようにするための練習を取り入れているところが増えています。
自分の名前の文字を知ることで文字に対する興味が芽生え、読み書きへの抵抗感が低くなる子どももいます。
また、小学校での授業を見据え、日常生活の中で静かに座って先生の話を聞く時間や読書をする時間を設けるなどして、子どもの集中力を養う取り組みを行ったりもしています。
小学校での取り組み
小学校では、学校が発行するお便りや行事予定表などを、次年度入学予定者のいる保育所や幼稚園に配布するなどして、小学校生活についての情報発信をしています。
両者の連携
年長クラスなど、小学校に上がる直前の子どもたちを対象に、小学校見学などの機会を設けている地域もあります。
保育士・幼稚園教諭と小学校教諭との交流会などを設け、子どもたちの様子について情報交換したり、相互の教育方針について話し合ったりすることもあります。
「小一プロブレム」に対応するため、保育者・教育者に必要なスキル
保幼小連携においては、保育士・幼稚園教諭、小学校教諭それぞれが、さまざまな年齢の子どもたちの成長過程や発達状況を理解する能力が必要です。
そうした能力を身につける方法の一つとして、大学などの教育機関で保育士・幼稚園教諭・小学校教諭の 3 資格を取得することが挙げられます。
大阪青山大学の子ども教育学部では、これら 3 資格を同時に取得することができます。
また、子どもたちに対して興味関心を持ち続け、親身に寄り添うことも重要なスキルの一つであると言えます。
おわりに
今回は、小学校に入学した子どもが直面する「小一プロブレム」とは何か、それを解決するための保幼小連携について説明しました。
「小一プロブレム」の原因の一つは、子どもたちが抱える不安です。
不安を解消するために、保育所・幼稚園・小学校での情報の共有や定期的な交流を行う保幼小連携が各地で進められています。
連携を効果的に行うためには、さまざまな子どもたちの発達・成長を知り、気持ちを理解することが重要です。
保幼小連携に対応できるスキルを身につけた保育者・教育者として活躍するため、保育士・幼稚園教諭・小学校教諭の 3 資格取得をめざして大阪青山大学で学んでみませんか。
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