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#14 ICTやものづくりを通した科学教育に関する研究

子ども教育学部 准教授
金川 弘希
研究分野:科学教育、ICT 教育

子ども教育学科の金川准教授は、ICT(情報通信技術)を授業に取り入れ、科学教育の質の向上や、学習意欲の向上に繋げることを目的に研究を進めています。

研究テーマや、現在の研究内容について教えてください

研究テーマは「ICT やものづくりを通した科学教育に関する研究」です。
この研究は、ものづくりや、現代の教育において重要な役割を果たす ICT(情報通信技術)を活用し、科学教育の質を向上させることを目的としています。具体的には、以下のようなことが挙げられます。

科学教育の質の向上
ICT を活用することで、インタラクティブで実践的な学習体験を得ることができます。例えば、シミュレーションや仮想実験を通じて、理論だけでは理解しにくい科学の概念を視覚的に学ぶことができます。また、ものづくりを通じて、理論だけではなく実際に手を動かしながら学ぶことで、理論と実践の橋渡しを行い、深い理解を得ることができると考えられます。

創造力と問題解決能力の育成
ものづくりを通じて、自らのアイデアを形にする過程で創造力を発揮し、直面する課題を解決する能力を養います。これにより、単なる知識の習得にとどまらず、実際の問題に対処するスキルを身につけることができると考えられます。

ICT の活用促進
現代社会では、DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが重要とされるなかで、デジタルリテラシーは必須とも言われています。そのため、教育に ICT を取り入れることで、様々なスキルを自然に身につけることができると考えられます。

学習意欲の向上
インタラクティブで魅力的な学習を行うことで、子どもの興味を引き、学習意欲を高めることができます。特に、実験やプロジェクトベースの学習は、学生の主体的な学びを促進すると考えられます。

 

 

このテーマで研究を始められたきっかけや経緯を教えてください

現在の研究に至ったきっかけは、小学校教員時代に遡ります。私が小学校教員として勤務した 5 年目の年に、プログラミングロボット学習を始めました。その学習では、子どもたちが積極的にプログラミングをしたり、ブロックを使用してロボットを作ったりしました。その姿をみていると、どの児童も自分たちで問題を発見し、それを解決する過程を楽しんでいました。
また、振り返りでは、「自分たちで考えた動きをするようにプログラムをつくっても、思った動きと違った。けど、それをすぐに改善できるから、疲れるけど楽しい。」と言った感想がでました。
このような経緯があり、ICT やものづくりを通した科学教育を研究し、子どもたちがより楽しいと思える実践を考えることができたらと思い研究を進めています。

 

研究を進められる中で、今どのような課題や成果が見えていますか?

課題としては、まだまだ実践数が少ないため、今後はより多くの場で実践し、よりよい活動につなげたいと考えています。
成果としては、学習意欲の向上や、教科の学びをより確実なものとできることが確認されています。

本学の学生は研究活動に何らかの形で関わっていますか?

現状では、卒業論文の一環として研究を行っている学生が、小学校で行われている授業を参観し、改善策を考えるとういう形で参加をしています。また、ゼミ生は「小学校の理科実験器具はアナログよりもデジタルの方が良いのか」という題目で研究を進めております。今後はもっと多くの学生と研究を進めることができたらと考えています。

今後の展望や目標について教えてください。

ICT 機器やものづくりを通して、子どもたちの各教科の学びをより確かなものへとできるような授業を提案できたらと考えています。
また、学校の授業のみに限らず、実験教室等でも子どもたちが楽しく活動できる科学教育を提案できたらと考えています。

 

高校生、学生、地域の方等へのメッセージをお願いします。

高校生、学生のみなさんは、今後どのような将来を描いているのでしょうか。私は小学校教員を経て大学教員として第二のキャリアをスタートさせています。
私は教員養成系の大学に入学しましたが、教員免許を取得しなくても卒業できる課程でした。そのため、大学入学当初は教員になろうという強い意志はありませんでしたが、両親が教員であったことや学習塾でのアルバイト経験があったことなどから、教員の道を志しました。学生時代から現場のことを少しでも知ることができたため、興味を持てたり安心感があったりしたことが後押しとなったのかなと感じています。

小学校教員時代は、日本中の様々な公開授業や研修会に参加しました。そこには、多くのことを吸収しようと思った教員(小学校、中学校、高等学校、大学)が集まり、交流を通してたくさんの刺激がありました。このようなことを経験していくうちに、小学校での実践のみならず、さらに高いレベルで理論を学んだり経験をしたりしたいと考え、小学校教員をしながら、夜間の大学院に通いました。そこでも新たな出会いがあり、研究も楽しいなと思うようになりました。そして第二のキャリアとして大学教員になりたいと思い実践・実績を積んで現職についています。

みなさんはこれから様々な人たちと出会い、多くの刺激を受けることでしょう。そこではキャリアを考える際に重要な出会いがあったり、困った時に相談できる一生の友達ができたりするかもしれません。しかし、自分から行動しなければ交友関係は広がらず、刺激が少なくなってしまいます。私はどのような経験であれ「経験」こそが「財産」だと思っています。なるべく多くの経験をすることで考えが豊かになると思います。これからの学生生活が有意義になるよう、積極的に色々なことにチャレンジして、楽しい学生生活を送ってもらいたいと思います。