看護学科「第 4 回看護学科学術講演会」開催報告

7 月 13 日(金)、箕面キャンパス 2 号館 大講義室において「第 4 回看護学科学術講演会」が開催されました。
今年度のテーマは「地域で生活する患者を支えるケア ~「治す医療」から「治し支える医療」への転換~」でした。

日本の高齢化は、諸外国に例をみないスピードで進行しています。現在、65 歳以上の人口は 3,500 万人を超えており、団塊の世代(約 800 万人)が 75 歳以上となる 2025 年以降は、国民の医療や介護の需要が、さらに増加することが見込まれています。

このため厚生労働省は 2025 年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。

そこで、本講座では、地域で生活する患者を支えるケアについて学び、学生が在宅医療の推進の必要性について考える機会を提供することを目的として企画されました。

第 4 回 看護学科学術講演会

テーマ 地域で生活する患者を支えるケア
~「治す医療」から「治し支える医療」への転換~
開催日時 2018 年 7 月 13 日(金)10:40 〜
開催場所 大阪青山大学 箕面キャンパス 2 号館 8 階 大講義室
講師 中嶋 百合子 先生 (協立訪問看護ステーション 訪問看護認定看護師)
在宅での看取りを経験されたご家族の方
聴講者 健康科学部 看護学科 1・2・3 年次学生 / 教職員 約 210 名

久田 学長による開会の挨拶に続き、講師の紹介が行われました。
最初の講師である中嶋 百合子 先生は、看護師として病院で勤務された後、在宅看護の道を志し、訪問看護認定看護師の資格を取得され、現在は協立訪問看護ステーションに勤務されています。
中嶋 先生は、冒頭で日本の高齢化の現状や医療介護需要予測指数について話されました。さらに、地域包括ケアシステムとは何か、今なぜ地域包括ケアシステムなのかについて、詳しくかつ解りやすく講義されました。

地域で安心して自分らしく老いることのできる社会には、医療、介護、予防、生活支援、住まいの 5 つの要素のそれぞれを充実させる必要があります。在宅から再び在宅に戻ってくるように循環する形で、必要な時に必要なサービスが提供される体制が用意されていることが重要と話されました。
そして訪問看護師として、利用者さん(患者さん)が生ききることを支えるためには、どこで、誰と、どのように生きていきたいかを聴くことが大切と話されました。その人が生まれて今に至るまでを知ること、その人を取り巻く環境(人、物、金)を知ることが大切です。
さらに医療や介護、病院や施設、地域や家族などがケアチームとして連携している一例として、ターミナルケア協議会の写真を見せて下さいました。医師や訪問看護師はもちろん、保健師、薬剤師、ケアマネージャー、理学療法士など様々な職種が集まって情報共有をしている場面です。

また平成 30 年に改訂された人生の最終段階における医療のプロセスに関するガイドラインについても説明され「QOD(クオリティ・オブ・デス)」を支える医療の在り方について「利用者さんや家族が主役、看護師は黒子」と話されました。

講義の最後には川西市にあるナイチンゲール像について紹介され、ナイチンゲールの著書である看護覚書に書かれている看護の基本に、常に立ち戻ることが大切であると締めくくられました。

次に登壇くださったのは、在宅で看取りを経験されたご家族の方(A さん)です。
A さんは、今年の 3 月に夫をがんで亡くされました。A さんの夫が、がんと診断されるまでと診断されてからの経過、昨年の 11 月から 5 ヶ月間、在宅で夫をケアした様子、子や孫などご家族の様子、訪問看護師や医師の様子などを話されました。また自作の絵本で、在宅ケアのお助けグッズの紹介もして下さいました。

昨年の年末までもたないと余命宣告を受けていたにも関わらず、在宅に移行すると元気になった夫について、その元気の源は、やはり自然体で普通の生活を送れたからではないかと話されました。

A さんは途中、涙で声を詰まらせながらも気丈にお話し下さいました。聴いている側でも涙している者もあり、学生たちの心に深く伝わったようでした。
最後に「看取る方は非日常で大変さもあるが、やっぱり在宅で看取りをして良かった」という言葉で締めくくられました。

講演後には 3 年次生から「実際の看護師さんやご家族からリアルな話を聴けて、理想的な講演だった」という感想があり、今回の講演を通して学生たちに訪問看護への新たな関心が生まれたであろうことが伺えました。
最後に、平澤学科長よりご講演頂いた中嶋 先生および A さんに厚い感謝の意が伝えられ、講演会は終了しました。ご講演くださいました中嶋 先生、A さんに、心よりお礼申し上げます。


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