11 月 26 日(月)13 時より、特別講演会を開催しました。
毎年、この時期に 1 年生、2 年生を対象に行う特別講演会。今回は、人生を生きる技法として「あきらめるな」というタイトルで武道家 日野 晃 先生に講演していただきました。
独学でドラムを修得され一流のジャズドラマーとして活躍すると同時に、こちらもまた独学で武術を修得し日野理論を構築され、唯一無二の武道家として現在に至る過程で「『あきらめる』という言葉を持ったことがない」と断言される先生。その先生が、社会という環境に適合できず、何かあるとボキッと折れてしまいがちな今の若者たちの行く末を危惧して多大なエールを贈ってくださいました。
先生からいただいた言葉
● 見切り千両
● 柔よく剛を制す
● 社会に出て行き詰まったら自転車に乗れるようになった自分を思い出せ
● 社会に出たら答えを探すことより問題を見つける力を持つことの方が重要だ
● 答えは自分の中にある。他人の頭に答えを求めるな
● 自分がやると決めたことはとことんやれ!あきらめるな!
● 自分に向いてないと思うことはさっさと見切れ!
途中で質問はないかと何度も聞かれ、最初は無言で下を向いていた学生も、先生のパワーに揺さぶられたのか、あちらこちらから声が上がり始めました。一部をご紹介しましょう。
学生たちは、先生が約 10 年の歳月をかけて約 100 坪の自宅兼道場のログハウスを自らの手で建築されたことに大変興味が湧いたようでした。
学生:
「どうして 10 年もかけて家を自分で造ったのですか?」
先生:
「10 年かけて造ろうと思ったのではなくて、自分の家を造ろうと思ったら結果 10 年かかったんや。○○年という期限をつけるから挫折するんや。何年かかってもやり遂げる。それだけや。家賃を払わなくて良い環境がほしかっただけや。」
プロのギタリストになることを見切り、ジョン・コルトレーンの演奏に導かれるようにしてプロのドラマーになることを決意。気がついたら毎日 10 時間を越える練習に没頭し、約 2 年で一流のジャズドラマーになったというお話を聞いて声が上がりました。
(ギタリストになりたかったのに努力しなかったのは、あきらめたんでしょ。ざわざわ …)
もちろん、このあと説明をしてくださいましたが、学生の頭の上に ??? マークが見えるような光景が続き、あちこちでざわざわとつぶやきが …
(1 人の女子学生が唸るように)
学生:
「『あきらめる』と『見切る』はどのように違うのか、お話を聞いてもわかりません。」
(先生はすかさずその学生に歩み寄られ)
先生:
「いいところに気がついたね。違いがわからないということがわかったんだね。君の頭がわかったんだぞ。その答えを他人の頭を借りてはあかん。5 年、10 年考え抜け!そのことが大切だ。その疑問を大切にしなさい。」
武道における「見切り」は大変重要だそうです。この「見切り」に長けていないと、命を落とすことに直結するとのこと。人生においても同じことが言えるかもしれません。
「あきらめる」と「見切る」の違い …
学生も教員も日野先生から大きな宿題をいただきました。
日野先生、ありがとうございました。
しかし、まだ質問が続きます。
学生:
「世界のトップダンサーに何を教えているのですか?」
先生:
「武道です。」
学生:
「世界中にいろいろな武術があると思うのですが、他の武術に興味はないのですか?」
先生:
「ありません。私は、宮本 武蔵を研究しています。」
はい、ここで時間切れです。
武道家 日野 晃 先生との 90 分は、学生たちのこれからの人生に何をもたらすのでしょう。
各々の心に、それぞれの出会いがあったことを願ってやみません。
今週末の東京公演の舞台入り直前の貴重な時間をいただきましたこと、心より感謝いたします。
日野 晃 先生、本当にありがとうございました。