地域に開かれた大学を目指す本学の特別企画・彬子女王殿下ご講演「今こそ伝えたい日本の心」が、11 月 30 日に箕面キャンパスで開かれました。皇族の講演は本学では初めてで、一般市民や学生、学芸員課程履修者、教職員ら計 250 人が参加、熱心に耳を傾けました。  

 最初に北摂キャンパスの歴史文学博物館にご到着された彬子女王殿下は黒のスーツに身を包んで、笑顔を浮かべながら館長室へ。ここで塩川和子学長や大長庸祐・箕面学園理事長らとご対面され、和やかにご歓談されました。学長が「博物館建設には前理事長が熱心でした。私は最初、まさかお城になるとは思っていませんでした」と説明しますと、女王殿下は「本当に立派な建物でございますね」と感想を述べられました。

彬子女王殿下ご来学

塩川 学長の説明を受けられる彬子女王殿下

室内には、高松宮家伝来のお人形や印籠、大正天皇のたばこ入れ、貞明皇后の宝石だんすなどが置かれ、殿下は実際に手に取って興味深そうにご覧になっておられました。

彬子女王殿下ご来学

小倉 主任学芸員による解説

 この後、秋季特別展「天皇の書 ~宸翰~」を小倉 嘉夫 主任学芸員の案内でご鑑賞。国宝「土左日記」は食い入るように見つめながら、「紀 貫之の原本を忠実に写したものと思われます」という説明にうなずかれ、掛け軸になった天皇の和歌には「力強い字ですね」と話されました。特別展示室の襖絵や高松宮妃殿下のイスやテーブルをご覧になってから、最上階の特別展望台へ。紅葉に染まった周囲の山々を見つめて、目の保養をされました。

彬子女王殿下ご来学

展示品を興味深そうにご覧になりました

  午後からは箕面キャンパスに場所を移し、講演会に臨まれました。まず、塩川学長が「以前に呉市の大和ミュージアムで、高松宮さまの展覧会が開かれたおりに、寛仁親王殿下にお目にかかり、その際に本学の博物館の図録をご覧にいれましたら、『これは彬子の専門だから』とおっしゃいました。それがきっかけで、本日の講演になりました」と、あいさつ。

彬子女王殿下ご来学

学内外から多くの聴講者が集まりました

  壇上に立たれた女王殿下は「子供たちに日本文化を伝えていく活動について話をさせていただきます」と前置きして、パワーポイントや DVD を使いながら、イギリスでの留学体験を交え、ご自身が総裁を務めておられる一般社団法人「心游舎」の活動内容を詳しく紹介されました。石清水八幡宮での「御花作り」、太宰府天満宮幼稚園の「和菓子作り」、東京・蓮華寺での「クタニシール・プロジェクト」などで、「子どもたちには本物の日本文化に触れてほしいです。その記憶の種をまく活動を、悔いのないように続けていきたいと思っております」と結ばれると、大きな拍手が起きました(ご講演要旨は別項)。

彬子女王殿下ご来学

「日本の心」について話される彬子女王殿下

 この後は、特別会議室でお茶を飲みながら、本学関係者と親しくご歓談されました。大阪平野が眼下に広がる光景に、女王殿下は「とても眺めがようございますね」と学長に話しかけられるなど、リラックスした様子でした。

 

彬子女王殿下ご来学

終了後はリラックスしたご様子でした(左)

 

彬子女王殿下ご来学

学園関係者との記念撮影

 

彬子女王殿下ご来学

感謝をこめてお見送りしました

 

 彬子女王殿下のご講演要旨   
 オックスフォード大学の大学院では日本美術を専攻し、同時に 5 年間、大英博物館でボランティアとして日本美術の研究をしておりました。帰国後、立命館大学に勤務するようになって、文化財関係のシンポジウムを企画しました。そこで、日本の文化財保護は行政主体のトップダウン方式になっていると痛感、逆に私たち自身が「大切だから守っていこう」という環境をつくるボトムアップ方式にしないといけないと思い、心游舎という団体を作ったのです。目標は、日本の伝統文化が生き続ける土壌作り、共同体で育児する場の提供、伝統文化を伝える現代版寺子屋の創設――の 3 つで、神社やお寺で子どものワークショップを開いています。

  その活動ですが、石清水八幡宮では、子どもたちが昔ながらの技法で、神に捧げる造花の「御花」を作っています。赤と白に染められた和紙を使い、すべて自然の材料で、染料の紅花も子どもたちが頑張って摘みました。出来上がった作品は石清水祭で奉納しています。
 太宰府天満宮にお供えする和菓子作りをしているのは、同天満宮幼稚園です。和菓子と洋菓子を分けて、和菓子がいかに季節を反映しているかを学び、工場見学のあと、カラー粘土でデザインを考案。最後に梅や日の丸、菊の 3 種の和菓子を作って奉納しました。
 その後、石清水天満宮の宮司さまの提案で、同幼稚園の和菓子は石清水にお供えし、反対に石清水の御花は太宰府でも奉納されました。  3 つ目の活動は、東京・蓮華寺で開催した「クタニシール・プロジェクト」です。九谷焼の絵付けをシールにして、飯碗に張りつけ、それを焼くと自分のデザインの飯碗ができます。その作品でご飯を食べたのですが、大好評で白米をたくさん食べてくれました。  

 日本語の美しさと学ぶ喜びを知る「辞書引き学習法」は、京都・大徳寺真珠庵で開催しました。辞書を開いて、そこに知っている単語があったら、番号を付けた付箋を張っていくもので、子どもたちはゲーム感覚で熱中しています。また、石清水八幡宮では「お茶摘み体験」も行っています。そこで、衝撃を受けたのは、家庭から急須が消えつつあることです。製茶体験では、子どもたちは生の葉っぱが煎茶の細いものになることを面白がっていました。また、出雲大社では勾玉と藻塩作りをするワークキャンプをしております。夜は神楽を見て、大社の夜間参拝をし、翌日は水族館を見学するという、神聖なところと楽しいものが合わさった企画です。このほか、東京・日本橋の高島屋では神楽奉納や勾玉作りなども行いました。  

 こういったワークショップは今後も続けていきます。楽しくて、面白い企画を通して、私も子供たちと一緒に成長したいと願っています。子どもたちは本物の伝統文化をかぎ分ける力を持っております。それに触れられる機会を増やし、いつ芽が出るかわかりませんが、記憶の種をまいていきたいと考えております。

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